風邪〜マナ〜
「はっくしゅん!」
朝、マナは寒さとけだるさとクシャミで起きた。
ズズズズッッッチ〜〜〜ン!
ポ〜〜〜イ・・・・・・・・コロリ・・・・
「チィッ!」
投げたティッシュがゴミ箱に入らず悔しがる。
「風邪かな〜?」
ベットの中で額に手を当てる、確かに熱があるようだ。
「・・・・・学校どうしようかな?」
普通の生徒なら大喜びで学校を休むのだがマナは別、シンジに会いたいからである。
「はっくしゅんっ!ズズ〜」
チ〜〜〜ン!!
鼻水が止らない。
「・・・・ダメだ。シンジに会えないのは残念だけど休もう」
学校に休みの電話を入れた。
「はっくしゅん!!」
学校、朝のホームルームが終わり一時間目の授業。先生がやって来た。
「きり〜〜つ!れい!ちゃくせ〜〜き!」
ヒカリが号令をかけ授業が始まる。シンジはマナの机を見た。当然いない。
(マナどうしたんだろう?遅刻かな?)
「それでは出席を確認します。・・・・風邪で霧島さんだけが休みですね」
(風邪?・・・・大丈夫かな)
シンジは心配そうにマナが座っていない席を見つめていた。そんな彼を見ている瞳が四つ。
(バカシンジの奴!どこ見てんのよ!)
(碇クン・・・・くすんっ)
(帰りにお見舞いに行こうかな)
思い思いのチルドレン、授業は進んだ。
「はっくしゅんっ!!」
ずっと寝ているがずっとクシャミが続き、体も熱くなってきた。
「ああ、何度クシャミがでればいいのよ!はっくしゅんんん!!」
額に手を当てた。
「う〜〜〜わかんないわ。体温計は・・・・」
ベットからのっそりと這い出ると、だるそうに四つんばいで体温計のある引出しに向かった。
がさごそ
中身をあさる。
「あれ?どこにやったかな」
がさごそ
「ないないない?」
見つからない。部屋は引き出しに入れていた小物で散らかって行く。
「ないわ・・・・あ〜〜何だかだるくなってきたわ〜〜、一人暮しは辛いわね。こんな時にシンジが居てくれたら・・・・」
シンジを目がうつろになりながら思い浮かべていると・・・・・・
「マナ、風邪はどう?」
「大丈夫、少し熱があるけど」
「本当?」
ピトッ
(あ、あ、あ、シンジのおでこが私の・・・・)
「熱が少しあるね。あれどうしたの?顔が赤いよ」
「な、なんでもないわ」
「そう、おかゆ作るから安静にしていて」
「うん!」
「できたよ」
「ありがと!」
「僕が食べさせてあげるよ」
「シ、シンジ!」
「僕じゃイヤかい?」
「ううん、オ・ネ・ガ・イ」
「じゃあ、はいア〜ン」
「ア〜ン」
「ア〜〜〜〜〜ン」
引出しの前で一人口を開けているマナ。
「はっ!私ったら、頭がクラクラしてきたわ・・・・寝よう」
ノソノソとスローモーションでベットに潜る。
「はっくしゅん!!!」
それからクシャミとの戦いが続いた。
ピーンポーン
「?誰かしら、まさかシンジ!」
微かな呼び鈴の音に目を覚まし、相手が誰か想像する。
「な、わけないか」
動くのが面倒くさいので出るのをやめた。
ピーンポーン
「マナ〜〜、居ないの?」
(!、この声はシンジ。居るわ!居るのよ!)
ガバッと起きあがると、もうダッシュで玄関に走った。
「はいはいは〜〜い!」
(ふふふふ、これでア〜〜ンよア〜〜〜〜〜〜ン)
がちゃ!
外にいるシンジにア〜〜ンさせてもらう為に玄関を開けた。
「シンジ!お見舞いにきてくれた・・・・・・・・・の?」
マナが見たのは・・・・
「見舞いにきたで〜〜」
「こ、これはパジャマ姿もなかなか」(売れる!売れるぞ!)
「霧島さん。大丈夫?」
「アンタの為にわざわざ私が来てやったのよ、感謝しなさい」
「風邪・・・・・休み・・・・・お見舞い・・・・」
いつものメンバーがそこに立っていた。
「マナ、お見舞いに来たよ」
「・・・・・・」
想像した事が脆くも崩れ去り、マナは言葉がでなかった。
「見舞いに来てやったのに、いつまで立たせておくつもり?さっさと中に入れなさい」
アスカに言われ、気がついた。
「あ、は、はいっどうぞ」
「「「「「おじゃましま〜〜す」」」」」
マナの横を通り抜けて五人は上がる。
「・・・・・・」
「マ、マナ、大勢で押しかけてごめんね」
「・・・・い、いいのよ。お見舞いにきてくれてうれしい。さあシンジも上がって」
「じゃあ、おじゃまします」
(トホホホ・・・・・シンジだけじゃないのね)
マナは泣いた。
「ちょっと部屋、散らかっているじゃないの」
アスカは腕を組んで部屋のど真ん中に立っていた。
「あ、体温計を探してそのままだったから」
「まったく。部屋くらい片付けられないの?」
「・・・・・・・・・」
シンジは『アスカだって片付けないじゃないか』と言いたかったが、まだ命を散らせたくないのでやめた。
「アスカ、霧島さんは風邪なのよ。私達で片付けましょう」
流石ヒカリ、言うと同時に部屋を片付け始める。
「う、わかったわよ。ファ〜スト、三バカ!片付けなさい」
「僕はおかゆをつくってくるよ」
アスカはテキパキと指示を出す。シンジは買ってきた食材を持って台所に立った。
「惣流、お前も片付け手伝えや〜」
「私はいいのよ。指示を出すから」
「なんだよ。それ〜」
「文句ある!」
キッとトウジ、ケンスケを睨む。その迫力に何も言えず、黙々と片づけをした。
アスカの適格な?指示のもと部屋は綺麗に片付いた。
「お待たせ〜〜」
「おお!うまそうや!」
「鈴原〜、霧島さんのよ」
「わ〜とる、わ〜とる」
鍋から出る湯気といい香り、トウジは最大限に嗅覚を使った。
「はい、熱いから気をつけてね」
「ありがとう」
マナはおかゆをフーフすると、ある事を思い出しながら食べた。
(あ〜あ、本当ならア〜〜〜〜〜ン、だったんだけどな)
そしてマナの風邪は次の日には完全に治った。
風邪、マナバージョンです。ア〜〜〜ンは夢で終わりました。
風邪を引いているのに大勢で押しかけ(お見舞い)にくると迷惑ですね。
シンジ一人だけでよかったのですが、当然アスカやレイが許すはずがありません。そこに委員長としてのヒカリ、シンジが作るおかゆ目的のトウジ、風邪姿を狙うケンスケとなったわけです。
こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。
NEON GENESIS: EVANGELION 風邪〜マナ〜